その日暮らし

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“キセキ”は終わらない――あんさんぶるスターズ!DREAM LIVE 4th Tour レポ

 

 

 

 初めて見るあの子の表情に、こんなにも胸が締め付けられるのは今日が最初で最後かもしれない。

 Infinite starは今年4月に発売されたTrickstarのアルバム新曲だ。SSで歌ったとされるこの曲。ライブの最後に、この曲を歌えてうれしい。俺たちとみんなの、絆の歌――SS衣装に身を包んだTrickstarの四人が言う。

 『絆の歌』と表現された時、何度聴いても涙が止まらなくなる。私は本来のSSの会場に足を運ぶことはできない。夢ノ咲は非実在だから、当然のことだ。しかし私たちはプレイヤーキャラであるあんずや、キャラクターの視点を借りて、彼らの物語を、歩んできた軌跡を辿ることができる。SSでは、スバルが苦しんでいる姿を目の当たりにして、何もできない自分が歯がゆいほどだった。あちらの世界でのTrickstarファンも同じような気持ちだろう。ずっと恐れていたことが最悪のタイミングで起こってしまい、泣き出したい気持ちを堪えて、今一番苦しいのは『彼』なのだからと、じっと神に祈ることしかできない。そして、彼は、明星スバルは、舞台に立つことを選んだ。仲間と共に、明星スバルとして。この曲は今まで彼らの物語を追ってきた私たちと、彼らの紛れもない『絆の歌』なのだ。私は彼らが、私たちに語りかけてくれる場があることに感謝してもしきれない。生きていて良かったと、心から思える瞬間だ。

 

 「はぐれた光の粒」歌い出しのスバルは、これまでに見たことのない顔をしていた。宝石のようにキラキラ輝く、一番星の瞳がうるんで溶けていた。ステージの上ではいつも満面の笑顔なスバルくんが初めて見せた表情に動揺を隠せなかったが、そんな彼に寄り添うように目を合わせて、真が歌う。そうして一人一人重なっていくTrickstarの歌声が愛おしかった。Infinite starの歌詞は全部良いのだが、二番サビの「待ってたのは 眩しい 無限大になる 君のエール」というところで観客に視点が移るところ、そしてその後の「応えるんだ思い切り その愛を胸に 歌いたいよこれからも 届けるから 無限大のパワー」の所は何度聞いても良い。観客のエールを受けて無限大になったパワーを、観客にまた届ける。愛の循環だ。ファンとアイドルという関係は、直接個人単位で関われるわけではない。もっと言うと非実在人物に対して「関係」もクソもないのかもしれない。けれど私は、ファンとアイドルだからこそ築ける関係があると信じている。それを魅せてくれるのがスタライだということも、信じている。夢の先を見せてくれる。そんな場所が、スタライが、ずっと続いて欲しい。少なくとも私はそのためなら生きていける。

 

 あんスタの歌は、人間が生きていくことの素晴らしさを歌ってくれる。私はひねくれた人間なので、いきなり「生きているって素晴らしい!」なんて言われてしまうと白けてしまうのだが、そういうった歌詞はあんスタの物語が彼らの人間性をリアルに形づくっているからこそ響くものではないかと思う。今回初公開となったSwitchの「イースターカーニバル」では「そうさきっと誰もみんな生まれたのは幸せになるためだから」と歌っている。私は、あんスタの「闇が深い」と言われがちな物語の中で、ステージの上でだけは希望を語る彼らの姿がいちばん好きだ。今回セトリには無いが「流星花火」では「人生今日が辛くてもやなこと忘れて歌おうか」という歌詞がある。「悲しいことや辛いこと」も知っている彼らが、夢を見せるために、なりたい自分になるために努力を重ねてたどり着いたステージを、私たちは目にしているのだ。


 ONLY YOUR STARS!は、あんさんぶるスターズ!!になってもアンコール曲であり続けるのだろうか。少なからずスタステ(キャストライブ「あんさんぶるスターズ!』Starry Stage)では、全員が歌唱しているStar's Ensemble!がこれからは採用されそうな気配がする。今回OYSを「俺たちの始まりの歌」と言ったのは北斗だった。3rdまでは真がその役だった。

 そして、あんさんぶるスターズ!の中で最も有名なセリフと言っても過言ではない「世界中に響かせようっ、俺たちのアンサンブルを!」だ。これを4人の口から聴いて、ONLY YOUR STARS!が始まった。「輝きたかったんだ」という過去形から始まる、決して明るいだけではない歌詞が、しかし星の煌めきのようにとどまることを知らないパワーと疾走感をもって響くこの曲。私はライブの最後にこの曲を聴くたび、溢れるありがとうの気持ちをどう表現すればいいかわからなくなる。ありがとう、みんな大好きだ。北斗くん、私もだよ。お猪口一杯分しかない感情のコップは出来れば溢れさせたくないけれど、愛を抱えてしまったからにはどうしようもない。こんな私でも生きていて良かったと、人生に意味を与えてくれる。生きていく力をくれる。私にとってアイドルは、Trickstarは、そんな存在だ。


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 “キセキ”は終わらない。それは永遠ではないかもしれない。現にいま、4th Tourは幕を閉じる。けれどそれでも彼らは、希望を、奇跡を、歌ってくれるのだから、私はそれを信じたい。たとえばスタライがいつか終わったとしても、後悔しない今を精一杯楽しんで、これまでずっと、たくさん夢を見せてもらえてよかった!って言える私でいたい。願わくば彼らの物語が末永く続きますように。そして、「もっと求めていいよ」と言ってくれる、最高を繰り返していく彼らに、スタライに、これからももっともっと大きな愛で返せるように、私は今日も明日も、生きていく。